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プレミアリーグ第4節 ストークvsリヴァプール戦レビュー

2011/09/11 21:00 Posted by 岩氏
岩氏の真剣だけど勝手なサッカーコラム

ストーク・シティvsリヴァプール戦レビュー

まず、筆者がレッズファン故、ほぼレッズレビューになっているが、予めご了承頂きたい。さて、この試合は、ストークが1-0で勝利したが、注目すべきは、ストーク4本、リヴァプール20本というシュート数。この数字を見て頂ければお判りのように、どちらが攻めていたかと言えば完全にリヴァプール(以下レッズ)だった。だが、終わってみればストークが前半20分に記録したPKでの1点を守り切り、レッズは今季初黒星を刻む事になったのであった。

前半、立ち上がりから攻勢に出ようとしたレッズだったが、ストークのプレッシングの質とスペースの消し方が非常に巧みで、ボールを保持できない時間が続く。ストークのしつこく速いプレッシングにパスを繋げたくても繋げない状態に陥っていった。

特に司令塔アダムの良さは完全に消されてしまい、アダムからの展開が全く機能しない。アダムは展開力もあってキック精度も高く、何より特徴はボランチの位置から一気に前線に走りこんで仕事をするところに強みがある。そして今のレッズの強みもこのアダムに象徴される縦への推進力とトランジションサッカー(攻守の切り替えの早いサッカー)にあるのだ。

がしかし、今回はその強みを完全に逆手に取られ、ストークの術中に見事にハマったと言えるだろう。

個の力とスピード、機動力では完全にレッズに分がある。そこをストークは昔ながらのプレミアスタイルのサッカーと徹底的な守備を披露し、そのレッズの縦への推進力を完全に封鎖した。これまで少ない手数でアダムよりダウニング、ヘンダーソン、スアレスと速い縦パスを入れてきてはチャンスを作り続けていたが、ストークはそこに完璧な罠をはっていた。自分達のサッカーができないレッズは次第に焦りが生まれ始め、キーマンであるスアレスも強引なドリブル突破を試みてはボールロストするなど、どんどん悪循環にハマっていく。

特にこのスアレスについては悪い癖が出てしまい、完全に熱くなってしまっていた。スアレスが前へ前へ行こうとする為、いつものリズムを作る為のクサビのパスが入れられなくなってしまったのだ。これによりボランチとトップのラインが完全に遮断され、間延びした状態になりロブのパスしか送り込めなくなった。

中盤でゲームの組み立てができなくなっては前線に放り込む。スアレスもカイトもどう考えてもストークの強靭で大きいDF達に競り勝てる訳が無い。つまり昔ながらのプレミアサッカーを得意とする相手の土俵にまんまと引きずり込まれた訳だ。

決してアダムやスアレスの調子が悪かったわけではない。ストークのディフェンスがそれだけ機能していたという事だろう。結果、ストークはカウンターから得たPKをきっちり沈めてそれが決勝点となってしまった。

ただ、これだけあからさまに相手の術中にハマっているのに、前半早い段階で動かなかったのは少し腑に落ちない。確かにストークとはアウェー戦では決して相性が良いとは言えない。それでも勝てる・・・いや、少なくとも引き分けに持ち込むくらいの戦い方は試合中に修正できたはず。後半は誰も変えず、特に大きな戦術の修正点もなく始まったのには少し?マークが出た。

とりあえず今回の試合での問題点と打開策をまとめて終わりたいと思う。

先ず、今回の問題として大きく挙げられるのが、

『守備に比率をほぼ100%に近い状態で臨んだ相手に対し、単調に攻め続けた事』

に他ならない。

確かに現在のレッズは一度攻撃に入りだしたらそう簡単に止める事は難しいと思う。これがマン・Uやチェルシー相手でもだ。ショートカウンターになった際のフィニッシュまでのスピードはかなりのレベルにあると判断している。しかし、今回はそれを完璧に封じられた。ストークは中盤と最終ラインできっちりラインを敷いてスペースを消す、そしてボールホルダーに前を向かせないといったほぼ100%ディフェンスに時間を割いたのだ。ペナルティエリア内には7、8人はDFがいただろうか。

それでも強引に縦へ縦へと行こうとしたレッズ。プレミアのチームらしいといえばそれまでなのだが、同じペースで単調に攻めたって相手に読まれ易くなるだけだ。ただ、これは恐らく新生チームが故の引出しの少なさを露呈したとも言えるだろう。現在の連携力では状況に応じた変化を加える事が難しいのだと改めて感じた次第である。

①左右への揺さぶりとワンタッチ

先ず欲しかったのがここだ。ボランチとトップが完全に遮断され、DFの裏も取れない状態が続いていた。しかし強引にトップへとボールを収めようとする。確かにこれまでスアレスへのクサビのパスからリズムを作るのがレッズの鉄板戦術だったのだが、スアレスも徹底的に圧力をかけられ先ずボールがキープできない。溜めが作れないからサイドやボランチの上がりも待てず、結果ボールロストへと繋がっていたのだ。

アダムは緩急をつけるタイプではない。プレミアリーグのチーム自体にそういった事を求めるのも難しいところはあるのだが、縦がダメなら左右に揺さぶりをかけて欲しかったと思う。特にダウニングも縦への意識が強いので左サイドで停滞を招いていた時間はこういった要因もある。縦へのスペースなど無かった為、アダムも得意の鋭いパスが出せずにいた。また、左サイドでも溜めが作れなかったのでSBエンリケも上がれないといった悪循環に陥っていた。

比較的ルーカスは左右に散らす事ができ、ヘンダーソンもサッカーIQが高いので右サイドはある程度臨機応変にできていたように思う。度々シュクルテルが上がってこれたのもこういった要素があった。アダム自体は緩急を付けられる技術はある。しかしその為には周りも連動しなければならない。全員が縦に意識が向かっていてはそれはできないだろう。

また、ワンタッチでさばける技術を持った選手がたくさんいる。スアレスを起点にカイト、ヘンダーソン、ダウニングが絡みワンタッチで崩していかないとこれだけのプレッシングは避けられない。つまり、相手の強固な壁をかいくぐるには揺さぶってスペースを作る事が必要なのだ。

②人数のかけ方

レッズの今回の布陣、ストークの長身FWピーター・クラウチを警戒してか、右サイドバックにシュクルテルを投入する策に出た。ジョンソンが怪我明けでコンディションが整っていない事も考慮していたのかもしれない。しかし、言い方は悪いがそこまでクラウチに警戒する必要は無かったと思う。

ストークは立ち上がりこそハイボールを送り込んできたが、先取点を奪ってからは守備に比重を置いてカウンター時も少量の人数しかかけていなかった。この時点でSBは攻撃に重点を置く事が優先されていたはずなのだ。少なくとも後半は出だしから攻撃力のあるジョンソンを投入しどんどんサイドから崩していくべきだった。がしかし、ジョンソンが投入されたのは終了10前くらいだった。

中央がダメならサイド。人数をかけれる状態でSBを有効に使わないでどうするのか?揺さぶりをかけるにしろ崩すにしろ、数的有利な状況を作る事が重要なのは鉄則である。スアレスが個人技で突破しようとした選択も実はこういう背景があったと思う。局面で数的有利な状況が作れていなかったのだ。

③交代アクションの遅さ

これはダルグリッシュ監督に注文したい事なのだが、上記のジョンソン投入も然り今回の采配は後手後手過ぎたように思う。

この試合では2つの打開策があった。

「キャロル、ジョンソンを投入しパワープレイで突破口を切り開く」

「アダムを下げてスピアリングを投入、相手にある程度ボールを持たせて守備からリズムを作る」

1点ビハインドの状態だったので前者になったが、個人的には早い時間帯で後者を試して欲しかった。スペースを作るには攻撃に転じたところを潰しカウンターに繋げるのがてっとり早い上に、現状あまりフィットしきれていないキャロルを使うよりも確実だったからだ。前者でももう少し早い時間帯であれば同点には追いつけたように思う。

さて、いずれにせよレッズは今季一敗目を喫してしまったがそんなに悲観する事は無いだろう。課題は明確に浮き彫りになったし、これから連携力を高めていくチームにとっては良い時期の敗戦だと思う。修正する時間もあるのでこれからオプションが増えていけば良い。

次節ではいよいよジェラードも復帰する。経験豊富なキャプテンが良い形でその力を還元してもらえればと思うし、これでまたチームのモチベーションも大きく上がるだろう。ジェラードが今のチームのどこに組み込まれるかも見物である。

今回の敗戦、そしてジェラードの復帰が起爆剤となって、これより快進撃を続けてくれればと願う。

それにしても、ストークのディフェンスは本当に見事だった。

 

筆者名 岩氏
プロフィール 『岩氏の勝手にあれこれサッカー論』から勢い余ってはみ出してしまったコラムや行き場を失ったコラム達。それを心優しいQolyさんが拾ってくれました。日本代表やプレミアをメインに勝手にアレしてます。元ブログ(http://bubera1028.blog52.fc2.com/)も宜しくどーぞ!
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